個人事業主のための社会保険加入マニュアル
こんにちは。今回は 「個人事業主のための社会保険加入マニュアル」 として、これから事業を始める方や、既に個人でお仕事をされている方に向けて、社会保険加入の方法や必要書類についてわかりやすく解説していきます。
会社員時代は勤務先を通じて自動的に健康保険や厚生年金に加入していましたが、個人事業主になった場合は 自分で手続きをして加入する必要があります。
この記事では以下のポイントを整理してご紹介します。
✅ 個人事業主が加入すべき社会保険の種類
✅ 加入するための手順
✅ 必要な書類
✅ 保険料の決まり方
✅ 任意で利用できる制度
✅ 注意点やポイント
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個人事業主が加入すべき社会保険とは?
まずは、個人事業主が加入しなければならない社会保険を整理します。
【加入が義務付けられているもの】
社会保険の種類 |
加入先 |
説明 |
国民健康保険 |
住所地の市区町村 |
病気やケガの際の医療費を補助する医療保険制度 |
国民年金(第1号被保険者) |
住所地の市区町村 |
老後・障害・死亡時に備える基礎年金制度 |
【条件によって加入するもの】
社会保険の種類 |
加入先 |
説明 |
介護保険 |
住所地の市区町村 |
40歳以上で自動加入。40〜64歳は国保に上乗せ、65歳以上は年金から天引き |
国民年金基金 |
任意加入 |
将来の年金を上乗せするための制度 |
小規模企業共済 |
任意加入 |
退職金の代わりとなる共済制度。掛金は全額所得控除対象 |
【原則加入できないもの】
- 厚生年金保険 → 個人事業主本人は加入不可(※法人化すれば可能)
- 雇用保険・労災保険 → 個人事業主本人は対象外(従業員を雇えば加入義務が発生)
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個人事業主が加入するための流れ
個人事業主が社会保険に加入する基本的な手順は以下の通りです。
① 開業届を提出する
税務署に「個人事業の開業届出書」を提出することで正式に個人事業主となります。
② 国民健康保険に加入する
住所地の市区町村役場で手続きを行います。
退職後すぐに加入する場合は「健康保険資格喪失証明書」や「退職証明書」が必要になることがあります。
③ 国民年金(第1号)に加入する
こちらも市区町村で手続きを行います。20歳以上60歳未満の方は必ず加入が必要です。
④ 任意制度に加入する(希望する場合)
国民年金基金や小規模企業共済などに加入することで将来の備えを充実させられます。
💡退職直後の場合は「健康保険任意継続被保険者制度」を選択できるケースもあります。条件次第で国民健康保険より安くなることもあるため、比較してから選ぶとよいでしょう。
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社会保険加入に必要な書類
【国民健康保険の加入手続き】
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- マイナンバー(通知カードや個人番号カード)
- 退職後の場合 → 健康保険資格喪失証明書など
- 印鑑(自治体による)
- 口座振替希望の場合 → 通帳やキャッシュカード、銀行印
【国民年金の加入手続き】
- 本人確認書類
- マイナンバー
※通常は健康保険と同時に市区町村窓口で手続き可能
【任意加入制度】
- 国民年金基金:専用の申込書(市区町村または郵送で入手)
- 小規模企業共済:申込書、開業届の控え、本人確認書類
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保険料の決まり方
【国民健康保険】
- 前年の所得に応じて計算される
- 世帯単位で課されるため、家族全員分が合算されて請求
- 自治体ごとに保険料率が異なる
【国民年金】
- 全国一律の定額(2025年度:月額16,980円)
- 所得が少ない場合、免除・納付猶予制度あり(市区町村で申請)
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個人事業主が利用できるその他の制度(任意加入)
■ 国民年金基金
- 公的年金を上乗せできる年金制度
- 掛金に応じて将来の年金額が増える
- 掛金は全額所得控除対象
■ 小規模企業共済
- 個人事業主の「退職金制度」にあたる
- 掛金は月1,000円〜7万円まで自由設定可能
- 掛金は全額所得控除対象 → 節税効果が大きい
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個人事業主が社会保険に加入する際の注意点
- 会社員と違い、保険料は全額自己負担 → 負担感はあるが将来の備えとして重要
- 所得が少ない時期は減免・猶予制度を必ず活用(市区町村で相談可能)
- 支払った保険料は「社会保険料控除」として確定申告で節税効果あり
- 従業員を雇う場合:
- 雇用保険 → ハローワークで手続き
- 労災保険 → 労働基準監督署で手続き
- 常時5人以上の従業員を雇う事業(法律で定められた業種)では健康保険・厚生年金の適用事業所となり、従業員は加入が必須
【まとめ】個人事業主でも社会保険は「自分のため」にしっかり加入しよう
個人事業主になったら、社会保険は 「自分で守る」 意識が大切です。
- 国民健康保険・国民年金は必ず加入
- 収入や将来設計に応じて国民年金基金や小規模企業共済も検討
- 保険料の負担が厳しいときは免除制度や役所の窓口に相談
- 従業員を雇う場合は社会保険加入の義務も発生
安心して事業に専念できるよう、社会保険を上手に活用して備えましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!