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開業初年度の税金対策とは?

2025.09.16【税務・経理・法務

〜収入が少ない年でも忘れてはいけない税務対応と節税方法〜

目次

  1. はじめに

  2. 開業初年度にかかる主な税金

  3. 開業届と青色申告承認申請書の提出

  4. 経費計上の基本ルール

  5. 青色申告の特典を最大限活用する

  6. 減価償却と少額減価償却資産の特例

  7. 消費税の免税事業者制度と注意点

  8. 社会保険料と控除のポイント

  9. 赤字の繰越と翌年以降の節税効果

  10. 開業初年度にやるべき帳簿管理

  11. 節税のための制度活用(小規模企業共済・iDeCo等)

  12. 税理士に依頼すべきかどうかの判断基準

  13. まとめ


1. はじめに

個人事業主として開業した初年度は、収入が少なかったり安定しなかったりするケースが多く見られます。
「まだ儲かっていないから税金対策は必要ない」と思いがちですが、実は開業初年度こそ 適切な税務対応と節税の仕組みづくり が重要です。
本記事では、開業初年度に押さえるべき税務対応と節税の方法を体系的に解説します。


2. 開業初年度にかかる主な税金

開業初年度税金対策とは?

個人事業主にかかる代表的な税金は以下のとおりです。

  • 所得税:事業所得に応じて累進課税

  • 住民税:前年の所得に応じて翌年課税

  • 個人事業税:年間事業所得290万円以上で発生(業種による)

  • 消費税:原則2年前の売上に基づくが、開業1年目は免税事業者

初年度は「思ったより税金が少なかった」という人もいれば、「予想外の請求で慌てた」という人もいます。事前の理解が不可欠です。


3. 開業届と青色申告承認申請書の提出

事業を始めたら、まず 税務署への開業届提出 が必要です。提出期限は「事業開始から1か月以内」とされています。
同時に提出すべきなのが 青色申告承認申請書 です。これを提出しておけば翌年から青色申告が可能になり、節税効果が大きくなります。


4. 経費計上の基本ルール

節税の第一歩は、正しく経費を計上すること です。
経費にできるかどうかの基準は「事業に直接必要かどうか」。

主な経費例:

  • 仕事用パソコン・ソフト

  • 打ち合わせの交通費

  • 事務所家賃や自宅家賃の一部(家事按分)

  • 通信費(携帯・ネットの事業利用分)

領収書やレシートは必ず保管し、日付・用途・金額を記録する習慣を持ちましょう。


5. 青色申告の特典を最大限活用する

青色申告には以下のメリットがあります。

  • 青色申告特別控除(最大65万円)

  • 赤字の繰越(3年間)

  • 家族への給与を必要経費にできる(青色事業専従者給与)

開業初年度に収入が少なくても、この制度を利用することで翌年以降の節税につながります。


6. 減価償却と少額減価償却資産の特例

パソコンやカメラなど高額な備品は、一度に全額を経費にできず「減価償却」で数年に分けて経費化します。
ただし、以下の特例があります。

  • 10万円未満:全額即時経費

  • 10万円〜20万円未満:3年間均等償却

  • 中小企業者等の少額減価償却資産特例(30万円未満を即時経費化)

開業初年度に設備投資が多い場合、この特例は節税効果が高いです。


7. 消費税の免税事業者制度と注意点

開業初年度と翌年度は、原則として消費税は免除されます。
ただし以下のケースでは例外があります。

  • 「課税事業者選択届」を提出した場合

  • インボイス制度に対応するため取引先から課税事業者を求められる場合

開業直後は免税のメリットが大きいですが、取引先の要望や将来の売上規模を見据えた判断が必要です。


8. 社会保険料と控除のポイント

個人事業主になると 国民健康保険と国民年金 に加入するのが基本です。

  • 国民年金は一律(令和7年度:月16,980円)

  • 国民健康保険は所得に応じて決定

これらの支払額は全額が所得控除の対象となります。払った分だけ税金が安くなるため、支払い忘れは厳禁です。


9. 赤字の繰越と翌年以降の節税効果

青色申告をしていれば、開業初年度が赤字でも 翌年以降の黒字と相殺(損益通算) が可能です。
例えば初年度に50万円の赤字を出した場合、翌年100万円の利益が出ても、課税対象は50万円に抑えられます。


10. 開業初年度にやるべき帳簿管理

確定申告をスムーズに行うためには帳簿管理が必須です。

  • クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)を活用

  • レシートや領収書はスマホで即撮影・保存

  • 銀行口座やクレカを事業用とプライベートで分ける

「帳簿を付ける習慣」を初年度から身につけておくことで、節税効果を最大化できます。


11. 節税のための制度活用(小規模企業共済・iDeCo等)

開業初年度から利用できる代表的な節税制度は以下です。

  • 小規模企業共済:掛金が全額所得控除、将来の退職金代わり

  • iDeCo:掛金が全額所得控除、老後資金形成に有効

  • ふるさと納税:翌年の住民税を軽減

「今は利益が少ないから必要ない」と考えがちですが、少額から始めることで将来的に大きな効果を発揮します。


12. 税理士に依頼すべきかどうかの判断基準

初年度は「自分で申告してみる」のも一つの経験です。
ただし以下のケースでは税理士に依頼する価値があります。

  • 売上や取引件数が多い

  • 節税制度をフル活用したい

  • 法人成りを視野に入れている

顧問契約ではなく「確定申告だけスポット依頼」も可能です。


13. まとめ

開業初年度は収入が少なくても、税務対応をおろそかにすると後々大きな負担になります。

  • 開業届と青色申告承認申請を忘れない

  • 経費を正しく計上し、青色申告控除を活用する

  • 赤字でも翌年以降に活かせる

  • 社会保険料や共済制度を利用して控除を増やす

  • 帳簿管理を習慣化する

「初年度だからこそ準備できる節税基盤」を固めておくことで、翌年以降の成長につながります。

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