〜協会けんぽ以外にも選べる健康保険の選択肢と加入条件〜
目次
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はじめに
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日本の公的医療保険制度の基本構造
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フリーランスが選べる健康保険の種類
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国民健康保険(基礎制度としての選択肢)
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協会けんぽとは?加入条件とフリーランスの可否
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健康保険組合に加入できるケース
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国民健康保険組合という選択肢
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家族の被扶養者として加入する場合
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法人化して社会保険に加入する方法
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それぞれの制度の保険料比較
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加入時の注意点と実務対応
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まとめ
1. はじめに
フリーランスや個人事業主になると、会社員時代とは異なり、健康保険の選択肢が変わります。多くの人が「国民健康保険」に加入しますが、実はそれ以外にも条件次第で選べる制度があります。
本記事では、協会けんぽ以外の選択肢や健康保険組合に加入できるケースを中心に整理します。
2. 日本の公的医療保険制度の基本構造

日本では「国民皆保険制度」により、原則すべての人がいずれかの医療保険に加入します。制度は大きく3つに分かれます。
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被用者保険:会社員や公務員が加入(協会けんぽ、健康保険組合など)
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国民健康保険:自営業者、フリーランス、無職の人が加入
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後期高齢者医療制度:75歳以上が対象
フリーランスは会社員ではないため「被用者保険」にそのまま加入することはできません。
3. フリーランスが選べる健康保険の種類
主に以下の選択肢があります。
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国民健康保険
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国民健康保険組合(業種別に設立されているケース)
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家族の被扶養者になる(親や配偶者の健康保険)
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法人化して社会保険に加入
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条件を満たせば健康保険組合に特例的に加入
4. 国民健康保険(基礎制度としての選択肢)
多くのフリーランスが加入する制度です。
市区町村が運営し、前年の所得や世帯人数に応じて保険料が決まります。
特徴
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所得が低いと保険料も低くなる
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医療費の自己負担は3割(会社員と同じ)
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高額療養費制度も利用可能
デメリットは、扶養の概念がなく、家族全員が個別に保険料を負担する点です。
5. 協会けんぽとは?加入条件とフリーランスの可否
「協会けんぽ(全国健康保険協会)」は、中小企業の会社員などが加入する制度です。
フリーランスが直接加入することはできません。
ただし法人化して自分を役員とすれば、会社として協会けんぽに加入することは可能です。
6. 健康保険組合に加入できるケース
健康保険組合は大企業や業界団体が設立した被用者保険です。通常はその企業の社員や関連会社の従業員が対象であり、個人事業主が直接加入することはできません。
しかし一部例外的に以下のようなケースがあります。
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業界団体の会員資格を通じて加入可能な健康保険組合(例:建設業、芸能関係など)
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フリーランスでも組合員になれる特殊な制度を設けている組合
とはいえ、一般的には「国民健康保険」か「国民健康保険組合」が現実的な選択肢となります。
7. 国民健康保険組合という選択肢
フリーランスにとって注目すべきは「国民健康保険組合(国保組合)」です。
特徴
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業種や職能団体ごとに設立されている
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保険料は定額制が多く、所得に左右されにくい
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医師国保、文芸美術国保、建設国保などが代表例
例えば文筆業やデザイン業に従事する人は「文芸美術国民健康保険組合」に加入できる可能性があります。
8. 家族の被扶養者として加入する場合
親や配偶者が会社員で健康保険に加入している場合、被扶養者としてその健康保険に入ることができます。
条件は「収入が一定額以下」であること。一般的には年収130万円未満が目安です。
開業初年度でまだ収入が少ない場合、この選択肢も検討できます。
9. 法人化して社会保険に加入する方法
フリーランスを法人化(会社設立)すれば、役員として「被用者保険」に加入できます。
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協会けんぽ
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業種によっては健康保険組合
法人化には登記費用や維持コストがかかりますが、社会保険への加入や節税効果を期待して法人成りする人も多いです。
10. それぞれの制度の保険料比較
制度ごとに保険料の決まり方が違います。
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国民健康保険:前年所得+均等割+平等割
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国保組合:定額制(組合ごとに異なるが月2〜3万円程度が多い)
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協会けんぽ:報酬比例(給与に対して約10%前後を労使折半)
収入が少ないうちは国保組合や被扶養者の方が有利な場合があります。
11. 加入時の注意点と実務対応
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国保は市区町村役場で手続き
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国保組合は組合事務局に直接申請
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法人化する場合は年金事務所で社会保険加入
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被扶養者は健康保険組合や協会けんぽに申請
それぞれ提出書類や証明資料が異なるため、事前に確認しておきましょう。
12. まとめ
フリーランスの健康保険は「国民健康保険」一択と思われがちですが、実際には以下の選択肢があります。
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国民健康保険
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国民健康保険組合
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家族の扶養に入る
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法人化して社会保険に加入
協会けんぽや健康保険組合は、原則フリーランス単独では加入できませんが、法人化や業種団体を通じた加入の可能性はあります。
収入や家族構成に応じて最適な制度を選び、将来のライフプランも見据えた保険選びをすることが大切です。
